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おせっかい
ジャケット写真でAmazonにリンクしているものは購入ページに飛べます。以前は日本のAmazonの輸入盤価格は、犬や塔 に対していまひとつ価格競争力に問題がありましたが、最近はかなり下がってきています。更にマーケットプレイスで海外の業者(カリフォルニア州とか英国ジャージー島あたりに登記された業者などから届けられます。)から取り寄せることが出来るようになり、ものによっては犬や塔よりかなり安く入手出来るものもあります。だいたい1〜2週間で到着する(日本での配達はJP)し、今までトラブルはありませんでした。
ちなみに、アメリカ盤はそこそこのようです。アイテムによっては直接、米Amazonから取り寄せると更に安くなることがある(品数にもよります)ので、興味ある方は .com の方も検索してみてください。私の場合、安い運賃の発送でも2週間強で到着しています。英独仏それぞれのAmazonも、他の国に無い独自アイテムがあったりして楽しめます。仏、西あたりだとFnacという手も。なお、品切れで中古の出品者が少ないアイテムは「あり得ない」値付けになっていることもあり、ご注意の程。
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2007.10.07 Sunday 15:04
アントネッロのヴェスプロ
Monteverdi: Vespro della Beata Vergine 1610 - 濱田芳通、アントネッロ、アンサンブル・オルフィカ (Anthonello Mode AMOE-10007/8)
今年の6月に聖母マリア大聖堂で行われた、目白バ・ロック音楽祭オープニング・コンサートのライブ録音。濱田芳通さん率いるアントネッロによるヴェスプロのCDは既にあったようだ(スタジオ録音か?)。日本人としてはBCJも録音している。
このホヤホヤのアルバム、だいぶ風変りな演奏と言うことも出来る。
西山まりえさんが弾くメルーラのオルガン曲からスタート。崩したようなヴェルスス朗唱に、「ああ、この手で来るのか」と身構える。
アンティフォナを加えて典礼的に構成しているのはカテドラルでの生演奏ということもあってこれでもいいのか。ホールでの最初の録音でもアンティフォナ込みだそうなので、彼らのスタイルなのかも知れない。
アンサンブル・オルガヌムみたいなコブシ込みメリスマを聴かせたりして面白いことは面白いのだが、腕達者な器楽に比べると声の方がどうも散漫な印象。ところどころではっとする効果的な場面もあることはあるのだが、とっ散らかった感じが拭えない。
これでは、ヴェスプロを聴く喜びと言うか満足感が得られないのではないかと心配しながら1枚目を終える。
ところがDisc 2に入り、ソナタの Sancta Maria ora pro nobis、どう言うわけだかフォーカスが効いてくるのだ。空気が違う。世俗にまみれた中から、突然、祈りが立ち上ってくるようだ。そして圧巻はマニフィカート。その導入、Magnificat anima mea には思わず息を飲む。光の効果。まさにカラヴァッジョの時代の音楽である。1610年はカラヴァッジョが死んだ年でもある。その後、カラヴァッジョ流は北方バロックへ影響を与え、レンブラント等につながってくることを思い出す。
器楽、声楽ともにマニフィカト全曲、すばらしい密度とテンションの演奏で、最後に「。」の如くアンティフォナが唱されて終わる。
それにしても一筋縄では行かない人々である。
2007.10.06 Saturday 19:48
Cherryholmes賛江
人気上昇中のブルーグラス・バンド、Cherryholmes が2作目をリリース。カヴァー写真の過剰なデザインは、ご当地音楽ではよくある事ですのでご了承下さいです。メンバーはみんな家族という、いわゆるファミリー・バンド。
ブルーグラスと言ってもバーボンをストレートでがぶ飲み出来なきゃ聴けないような泥臭い音楽かと思ってはなりません。Cherryholmes は、軽さと渋さ、洗練と泥臭さ、陽気さと陰影を絶妙にバランスした、実は結構ユニークなバンドではないでしょうか。
ブルージーな Black and White から、これぞブルーグラス的無窮動 The Nine Yards へと進んでいくと、スタジオ録音でこれならライブで聴いたら昇天しそうです。
大地のところどころに現代文明がなすりつけられ、どこに行っても似たような郊外の住宅地やショッピング・モール、さもなくばトウモロコシ畑が広がるようなアメリカの田舎が、実は地球上でもっとも詩情溢れる場所ではないかと思えて来ます。
ポピュラー音楽の一分野になっているようなカントリー・ミュージックと比べると、ある種フォーカスを絞られて様式化したブルーグラスの方が、アメリカ音楽の普遍的なコアの部分に通じているような気がします。
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2007.10.04 Thursday 08:27
ケイジャンゆたりのたり
Evangeline Made, a tribute to Cajun Music (Vanguard 79585 2)
昨日の Adieu False Heart でケイジャンに開眼したわけではないが、たまたま今日は棚からふと見つけて、あれ、こんなの持っていたのかとプレイヤーに乗せた。リンダ・ロンシュタットとデュエットしていた Ann Savoy がここではプロデュースを行い、様々な歌手がケイジャン・ソングを歌っている。リチャードとリンダ・トンプソン、ジョン・フォガティ、マリア・マッキー、パティ・グリフィン・・・ リンダ・ロンシュタットもアン・サヴォイと2曲。しかも全員フランス語で歌っている。音楽のスタイルは更に田舎風で、リンダとのデュエットのようなフォークっぽい曲より、ズン・チャッチャでゆるーい感じの曲が多い。
ちょっと聴くと、いやあこれは退屈しそうだなあ、勘弁だなあと思うのだが、このたるいノリに身を任せているといつの間にか体が麻痺して時の経つのも忘れ、気付くとCDが停止しているという不思議ダウナー系である。
これを聴いて真綿に包まれるようにのたありとするのは、実は究極のロハス的贅沢なのかも知れない。
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2007.10.03 Wednesday 10:08
ミシシッピの木陰で
Linda Ronstadt, Ann Savoy: Adieu False Heart (Vanguard 79808 2)
ポップ、ロックから始まって、カントリーやメキシコ歌謡のようなルーツ音楽でも独特の存在感を示すリンダ・ロンシュタットのアルバムの中でも異色のタイトル。Ann Savoyとのデュエットでケイジャン・フォークの魅力をたっぷり聴かせてくれる。ギターやバンジョーの音も、カントリーやブルーグラスで聴くものとちょっと違うような気がする。
何より、最初の歌の Adieu False Heart から始まる湿ってブルージーな節回しに心が引きまわされるたり、いくつかのはんなりしたフランス語の歌に安らいだり。ユニヴァーサルなアメリカ音楽にもこれらの要素が確実に一部として流れ込んでいるのだと思わせる、これこそルーツ・ミュージック。
曲自体はケイジャンのみならず、リチャード・トンプソンやビル・モンローのものまで、つまりイギリスのフォークやブルーグラスまで歌っているわけですが、そもそもケイジャンを意識しなくても、このデュエットは他に聴いたことが無い歌の世界を体験させてくれる。
別にジャンバラヤやケイジャン・チキンじゃなくても、いや、芋羊羹でも食べながらのんびりお茶飲んで聴いてみましょう。
国内盤もあります。
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2007.10.02 Tuesday 17:38
いい人なんだけどねえ
Bach: Goldberg Variationen - Sax Allemande (Farao Classics B108024)
サキソフォンによるバッハ、今度はゴールドベルグ変奏曲。Sax Allemande という名前の通りドイツ人(たぶん)3人組の演奏は清水靖晃のチェロ組曲とは全く違う世界である。何と言うか、人好きのするバッハ。先ずはサックスの音色自体に起因するのだろう、滑らかで洗練されていながら、牧歌的なボケをかますような風情。毒舌やちょっとしたマジ切れも憎めない。明るく社交的な振舞いの中にも、ふと眼差しに見せる憂いの光。
総じてべきょべきょとした音が軽々と疾走していくのだが、まあ、ほにゃらとした気分になれる。仕事もてきぱきこなして、敵も作らない、ユーモアもあって、いいひと。
バッハは楽しいね。
いい人だよ。いい人なんだけど、ねえ。
けど、ねえ、って、何さ。
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