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おせっかい
ジャケット写真でAmazonにリンクしているものは購入ページに飛べます。以前は日本のAmazonの輸入盤価格は、犬や塔 に対していまひとつ価格競争力に問題がありましたが、最近はかなり下がってきています。更にマーケットプレイスで海外の業者(カリフォルニア州とか英国ジャージー島あたりに登記された業者などから届けられます。)から取り寄せることが出来るようになり、ものによっては犬や塔よりかなり安く入手出来るものもあります。だいたい1〜2週間で到着する(日本での配達はJP)し、今までトラブルはありませんでした。
ちなみに、アメリカ盤はそこそこのようです。アイテムによっては直接、米Amazonから取り寄せると更に安くなることがある(品数にもよります)ので、興味ある方は .com の方も検索してみてください。私の場合、安い運賃の発送でも2週間強で到着しています。英独仏それぞれのAmazonも、他の国に無い独自アイテムがあったりして楽しめます。仏、西あたりだとFnacという手も。なお、品切れで中古の出品者が少ないアイテムは「あり得ない」値付けになっていることもあり、ご注意の程。
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2007.09.29 Saturday 17:33
身も蓋も無く颯爽と
Schubert - Symphony in C major "Great" : Bertrand de Billy, RSO Vienna (Oehms OC339)
90年代からパリを中心に活躍し始め、今やウィーンで押しも押されぬ人気を博しているベルトラン・ド・ビリーの初めての交響曲録音であるシューベルトのグレイト。個人的には、この曲に限らずシューベルトは大の苦手で、早く言えば「どこがいいのかさっぱりわからん」状態なのだが、時々手出しをすることもあるのだ。
私にとって「古楽後」であることは、もうこういう曲を聴く時の必要条件になってしまった。巨匠達の昔の演奏は、悪いけれど気の抜けたビールのように感じられてしまうのだ。残念と言えば残念なことだ。
軽々としたテンポで駆け抜ける第一楽章。テンポだけじゃなくて、ノイジーな音やアーティキュレーションもピチピチしてて気持ちいい。楽器のバランスが面白いところがあって、ふと耳がそばだつ。
第二楽章もルンルン気分(死語)のアンダンテ。これなら俺にでも聴ける! 心を込めて歌うよりも、こんな風に素っ気無いくらいの即物的な美音を連ねるほうが、この作曲家の凄味が分かりやすいんじゃないか。
スケルツォ。これも退屈なんだよなあ、と思って身構える。が、始まると悪くない。トリオへの非連続な接続感も刺激的。そして最初のテーマに戻って、終わる前に驚くような処理のフレーズがあったような。さて、ここで終わっときゃいいのに、この後、フィナーレがあるんでしょう? シューベルト、まったくもう、である。
そのフィナーレ。普通の演奏では、もう勝手にやってて、という感じになるところである。盛り上がればいいってもんじゃないでしょ、と言いたくなるところである。ところが、どこかショスタコーヴィチの交響曲の作為的な躁状態すら思い出させるこの演奏は、最後まで耳を離してくれない。
何と、シューベルト退屈人間の私がダレずにトイレにも行かずに聴いてしまったではないですか。しかも、繰り返しもきちんとやってるからか、こんな快速演奏なのに全部で58分以上かかっていて普通より長時間聴いていることになるのだ。それでも退屈を感じなかったのは、決してこの演奏がすっきり爽やか快適演奏だからではない。むしろ、その身も蓋も無い美しさによるものなのだ。
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2007.09.27 Thursday 08:59
スコットランド・ピアノにハマる
Sandy Meldrum : Scottish Piano Fusion (Greentrax CDTRAX298)
村の青年団の兄ちゃんがピアノに肘ついて笑っているようなカバー写真に「何じゃコレ?」と素通りする事なかれ。
スコットランド音楽をピアノで弾くなんて、砂糖漬けのメロディーがひたすら耳に心地良く流されるムード音楽かニューエイジみたいなんじゃないかと素通りする事なかれ。
アコーディオンやバグパイプをバックにちゃんとダンス・セットを弾いているのだ。ピアノで。ズンチャッズンチャッじゃなくて、きちんと跳ねている。タダモノではない。名アコーディオン奏者フィル・カニンガムの親戚筋だと言うサンディ(男性です)のピアノはかそけきバラードからジャズ・テイストまで、行くところ可ならざるは無し。ちゃんとノせ、ちゃんと楽しませてくれる。
その一方で、ムード的に流しやすいソロによるスロー・チューンもどこかに軽やかさを秘めてベタつかず、次のやはりソロによるダンス・トラックにうまく引き継がれ、極上のダンス・セットをピアノだけで再現してしまうのがサンディーの最骨頂。
ヘッドフォンで聴くと、脳内麻薬状物質の分泌が促進されそう。
まさに、ワン・アンド・オンリー。CDは外見で判断しちゃいけない。
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2007.09.26 Wednesday 09:06
無伴奏サキソフォン組曲
CELLO SUITES - YASUAKI SHIMIZU & SAXOPHONETTES (Victor Entertainment VICP63779/63780)
いつの間にか2枚まとめて一組になっていた。
バッハの面白い演奏のなかでも屈指の、サックスによる無伴奏チェロ組曲。しかも全曲。専門的にはいろいろ注文を付けられるのかも知れないが、やはり何度聴いても面白いものは面白い。こんな演奏が、いきなり地下鉄の通路の奥から聴こえて来たらどうだろう。重音のところは多重録音で処理しているから、一人では吹けないけれど。
それにしても、同じような試みが他にも有りそうだが、何故かバッハ無伴奏のサックスと言えば清水なのである。世のサックス奏者はバッハを吹かないのだろうか。たて笛ですらいくつか録音があるのだから、サックスのバッハなんかもっとあってもいいと思うけれど。売れないというような商業的理由では無かろうし、技術的要因というわけでもなさそう。多重録音だけでなく空間の残響自体も利用したという仕掛けのオリジナリティゆえ?
そもそも、この演奏は単に違う楽器で演奏したというより、全く新しい曲が生まれているような気がする瞬間がある。たぶん、それもバッハの音楽のせいだと言うことにしてしまおう。
2007.09.25 Tuesday 10:22
スコットランドの島唄
Julie Fowlis : Cuilidh (Spit & Polish SPIT032)
スコットランドというとハイランド地方のイメージが強いけれど、ヘブリディーズ諸島も忘れてはならない。Skye Boat Songで有名なスカイ島やメンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」の舞台があるのが、インナー・ヘブリディーズ。その北西側にあるいくつかの島々がアウター・ヘブリディーズ。Google Earthで「降りて」みると、僻地マニアの血が騒ぎそうな光景が想像される。そう言えば、欧州に行くのにPolar Routeがあった頃、空の上からこの島々を眺めたことがあった。
吸い込まれそうな瞳が印象的な、Julie Fowlis は、アウター・ヘブリディーズの北ウィスト島の出身。航空写真で見ても家の数が数えられるんじゃないかと言うくらい人口密度の少なそうな島である。スコットランド各地のメンバーを集めた Dochas というグループで人気を博し、この Cuilidh は2007年に出た、ソロ第2作。カバーに書いてあるように、treasury とか sanctuary といった意味のゲール語らしい。
全てゲール語で歌われる歌は素直でトラディショナルな味わいと新鮮な仕上がりが良い塩梅。バックもアコースティック楽器だけのアンサンブルでありながら、アレンジ含めてこちらもフレッシュな響き。人気が出ると大勢の観客に届くように(かどうかわからないが)電気楽器を多用し始め、それが音楽のスタイルも変えていくという道を辿るミュージシャンが多い中、こんな風にアンプラグドのまま行ってくれれば有難いのだけれど。
何と言っても、何の押し付けも気負いも飾り気も無く、こぼれ落ちるように紡ぎだされるこれらの歌との出合いに静かに感謝したいという気持ちになる。
Julie Fowlis 公式サイト
Dochas 公式サイト
Julie Fowlis : mar a tha mo chridhe (SPIT031)
こちらが2年前のソロ第1作。多くの場合ジャケ買いは後悔と怨嗟をもたらすが、この2枚だけは幸運の女神に感謝することであろう。無理に比べると新作の方がいろいろな要素の溶け合い方がちょっと深まったような気がしないでもないが、基本的には全く同じ路線。そもそも円熟ということはあり得ないのだ。紡がれては消えていくような歌なのだから。
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2007.09.23 Sunday 15:30
ナナ・ムスクーリの英国民謡集
Nana Mouskouri: Songs of the British Isles (Philips 838 737-2)
このアルバムがCD復刻されて現役であるというのは嬉しい。LPでは1976年のリリースで日本盤もあり、発売当時、TBSの朝番組「おはよう700」(五木田武信と見城美枝子の司会)の海外レポートで紹介されたりしていた。
ある意味リトマス試験紙みたいなアルバムであり、純粋にフォークソングが好きな人が聴いたら、単にファミリー向けの綺麗なメロディ集だと切り捨てるかも知れない。発売当時、日比谷の図書館で借りてカセットに録音して何度も聴いていた私でも、今では、必ずしも没入して聴けるものでもない。しかし、ナナ・ムスクーリ、このギリシャ出身で、お国もののギリシャ歌謡はもちろん、シャンソンからラテン、そしてスタンダード・ナンバーまで歌いこなす不世出の歌手(ポピュラー音楽のマリア・カラスと呼ばれて・・・はいない)がイギリス民謡を歌った唯一のアルバムは、「ご当地ソング」を超えたユニバーサルな魅力を獲得していると言えないことも無い。
何と、このアルバムを出した1976年、ナナ・ムスクーリは他に11枚のオリジナル・アルバムをリリースしているのだ。月1枚である。ドイツ語やオランダ語による歌唱のアルバムもある。76年は彼女のレコーディングが最も多産な年だったようだ。
LPの資料が無いので不正確だが、曲順はCD化で変わったような気もする。He moved through the fair はあまたの歌手が歌っており、ナナの歌は優等生的に過ぎるとも感じられる。Danny Boyはこんなものか。O Waly Waly や Skye Boat Song あたりを、泥臭くなく聴かせるあたりが彼女の真骨頂か。一番好ましいのは、かわいらしい An English Country Garden である。パーシー・グレインジャーも室内楽用に編曲を残しているこの佳品が歌で聴けるのは楽しい。
2007.09.21 Friday 09:48
どぶろくのカクテル
Mark Knopfler & Emmylou Harris : ALL THE ROADRUNNING (Warner 44154-2)
マーク・ノップラーとエミルー・ハリスのデュエット・アルバム? うわぁ、是非聴いてみたい、ポチっ。
で、届きました。じんわりダウナー系のマーク・ノップラーの声と磨かれたテンションのエミルー・ハリスの声の絡み合いは実に聴きもの。そして、マークのギターがもう絶妙としか言いようがない。曲作りは殆どマークで、エミルー・ハリスは2曲。道場破りのカントリー・ミュージック。
いま一つ気がのらない日のドライブのお供にどうぞ。あるいは、よごれちまった日常生活を終えたひと時に。変な癒し系なんかに手を出すより、どぶろくのカクテルを飲むようにこのCDを聴くほうが、その後ぐっすり眠って気分爽快になれるかも、です。
Mark Knopfler & Emmylou Harris : Real Live Roadrunning
ライブ盤も出ていたのですか。しかも全曲DVD付き。また、ポチか・・・
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2007.09.20 Thursday 11:33
音楽で香を焚く
Tournemire: 2 Offices de "L'Orgue Mystique" - Wilson (Solstice SOCD148)
癒し系音楽と呼ばれるものは、だいたい便所の芳香剤のような押しつけがましいものが多い。ストレサーばかりの現代では血で血を洗うように癒されなければならないのだ。
中にはポプリを部屋に置くように、かそけき上質の芳香音楽もあるだろう。そういうのならば聴いてみたい。
トゥルヌミールのオルガンの曲を聴くと、まるで香を焚いているような気がすることがある。
中古屋の特売で手にした、この「神秘のオルガン」から2つの礼拝分を収めたディスクは、シャルトル大聖堂のオルガンによる演奏。グレゴリオ聖歌の世界をオルガンで表現したような感じで、もちろんこの楽器ならではのダイナミックな曲もあるが、多くは静謐な聖堂にステンドグラスを通じて入ってくる光のような、冷やりとした色彩感に満ちた音楽。心を酔わせたり激しく動かしたりせず、ふと入り込んだ教会堂の空気の中で偶然鳴り始めたような響き。だが、一度、その響きが耳に入って来たら、最後まで自分の手で止めることが出来なくなってしまうような不思議な音楽だ。
全曲(250曲以上あるのです!)を聴くなら、12枚組の Delvallee による全集(Accord)がHMVなどで現役。1万円程度なので無くならないうちにどうぞ。
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2007.09.19 Wednesday 11:47
雲の工場
June Tabor : at the woods's heart (TOPIC TSCD557)
ジューン・テイバーが2005年に発表した At the Wood's Heart は、古いバラッドを集めた前作とは異なり、通常の伝承歌や創作フォークを集めたもの。彼女の声の色調も、やや明るめというか軽めになり、そのあたりに不満を感じるリスナーもいるようだ。前作の、人間がいかんともし難くしかし確実に我々自身の中にある暗い力を遠くから呼ぶような凄味は、ここでは感じられない。
沈黙すれすれの静けさが支配する。デューク・エリントンを歌っても、だ。
そして、最後から2番目の The Cloud Factory を聴くとも無しに聴きながら、図らずも落涙してしまった。かくもちっぽけで儚く、ただそこにあることだけが存在理由であるような人間の歌こそが、全ての人間の歌である。Bill Caddick が自身の父親の死について作ったということだ。Guardian紙のコンサート評によれば、多くの聴衆がジューンが歌うこの歌に涙したらしい。2006年のBBC2 Folk Awards の Best Original Song ノミネートされたが、惜しくも2位。この曲を聴くためだけでも価値のある1枚。
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2007.09.18 Tuesday 14:25
世も末ソングの伝統
June Tabor : An Echo of Hooves (Topic TSCD543)
コンスタントに新作を発表しているイギリスのフォーク・シンガー、ジューン・テイバーが2003年に発表したアルバム。最近の彼女のアルバムはひとつひとつテーマを持たせてある。ここでは、バラッド。The border widow's lament 以外は全て Francis J. Child が19世紀末に編纂した、いわゆる Child Ballad に基づいている。そしてセシル・シャープが蒐集したメロディなども含まれる。CDのスリーブノートでは字が小さすぎるのだが、いくつかの曲には背景についての簡潔な説明が付されている。詳しくは、Wikipediaの Child Ballads とそのリストからそれぞれの歌のシノプシスにリンクされている説明も参考になる。
歌詞や背景に思いをやらず、ただ vocal music としてだけ聴いたらどうだろうか。それでも、ただならぬ状況が歌われているのではないかと言う雰囲気は全てのトラックからビシバシと伝わって来るのだ。これこそ、本物の歌手。
昔は、みのもんたの番組の代わりにこのような歌で小説より奇な事件を想起しつつ嘆いたり怒ったり怖れたりしていたのだろう。世も末的な事件が起こるといよいよ社会の劣化が極まったと思いがちだ。でも、そこは変わらぬ人間の社会だもの。昔から、いや始原から世も末であったのだ。
ジューン・テイバーは、歴史と伝承に埋もれたそんなハンパねえ世も末事件を静かに歌い紡ぐ。そこから、まさに人の業とでも言うべきものを我々に感じさせるために、彼女の少し擦れ、低く曇った声に勝るものは無いだろう。
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2007.09.17 Monday 09:34
まだ萌える、バッハ。
Bach : Works for Trumpet - Alison Balsom
懲りずに続けます。今度は、トランペットです。
トランペットとオルガンと言えば、かのモーリス・アンドレか、というところですが、Alison Balsom さん、どうでしょう。細切れ名曲をあえて抑えて、結構充実したラインナップ。BWV972の全楽章からスタート。ヴィヴァルディの L'Estro Armonico の9番を原曲とする明るい曲でトランペット向け。後半は今度はマルチェロのオーボエ協奏曲をアレンジした BWV974 で始めるという凝った作りですが、これってLP時代のアルバム作りのような。
無伴奏チェロやヴァイオリンからも3曲入ってます。BWV1055(チェンバロ協奏曲4番)も全楽章たっぷり。
BWV1067(オーヴァチュア2番)のバディネリで妙技を聴かせた後は、ロ短調ミサのアニュス・デイを配して静かに締めるという心憎い気配り。
ちゃんと、「トランペットを通じてバッハを堪能させる」というあるべき姿になっています。
デビュー・アルバムは、スヴェーリンクに始まり、バッハやパーセルを経て、メシアンやエベンまで到達すると言う、更にマニアックなものだったのですね。
Alison Balsom 公式サイト
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