MELI-MELO MELOMANE

音楽愛好家的日常
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ジャケット写真でAmazonにリンクしているものは購入ページに飛べます。以前は日本のAmazonの輸入盤価格は、 に対していまひとつ価格競争力に問題がありましたが、最近はかなり下がってきています。更にマーケットプレイスで海外の業者(カリフォルニア州とか英国ジャージー島あたりに登記された業者などから届けられます。)から取り寄せることが出来るようになり、ものによっては犬や塔よりかなり安く入手出来るものもあります。だいたい1〜2週間で到着する(日本での配達はJP)し、今までトラブルはありませんでした。 ちなみに、アメリカ盤はそこそこのようです。アイテムによっては直接、米Amazonから取り寄せると更に安くなることがある(品数にもよります)ので、興味ある方は .com の方も検索してみてください。私の場合、安い運賃の発送でも2週間強で到着しています。英独仏それぞれのAmazonも、他の国に無い独自アイテムがあったりして楽しめます。仏、西あたりだとFnacという手も。なお、品切れで中古の出品者が少ないアイテムは「あり得ない」値付けになっていることもあり、ご注意の程。
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スコット・ジョプリンのラグタイムに耽溺する
cover photocover photo時折、ジョプリンのラグタイムが聴きたくなる。 アマゾンにオーダーしてあった、ジョプリンのラグタイム全集が届いた。 CD4枚にたっぷり66曲でたった15ドル。 聞いたことの無いレーベルだが気にしない。 そういえばLPで同じようなジャケットで全集が出ていたのを今は無き六本木WAVEで見つけたことがあったが、もしかしたらその復刻かもしれない。 録音はあまりよくない。 響きの無いデッドな音場に歪んだようなピアノの音。 マスターテープが劣化したような感じだ。 演奏も即物的と言うか、場末のホテルのロビーで疲れたピアニストが弾いているようだ。 しかし、むやみにムーディーだったり、バリバリ弾きこなした演奏よりいいかも知れない。 曲そのものを聴くには、このくらい飾り気の無い、すっぴんなジョプリンもいい。 最近のジョプリン・ルネッサンスでも重要なピアニストとジャケットには書いてあるが真相はわからない。 映画の「スティング」のプロデューサーの一人であるトニー・ビルが彼のことを「アメリカのトップ・ラグタイム・ピアニスト」と称しているそうだ。 それにしても、録音が悪い。 まるでヒストリカル・レコーディングかというくらい。 まあ、ピアノ・ソロだし、うるさいことは言うまい。 とにかく、ジョプリンのラグ全曲が15ドル、というだけで「買い」である。 Scott Joplin : His Complete Works - Richard Zimmerman (Bescol BSCD 4/4) cover photocover photoジョプリンのラグタイム・ルネッサンスと言えば、この人でしょう。 その後、バッハのロ短調ミサの驚くような演奏を聴かせたジョシュア・リフキンが72年にノンサッチに録音した3枚のアルバム。 LPで聴いて以来の愛聴盤だったが、2年前にやっと復刻。 ノンサッチのLPは、国内盤仕様でも、中身はアメリカ・プレスで盤質が悪かった。 どれ程、CD復刻を待ったことだろう。 演奏はと言えば、これも飾り気の無い、すっぴんラグ。 だが、どこか古き佳き時代を想うような雰囲気を持っている。 楽器をよく響かせた録音も悪くない。 だいたい、リフキン自身が好きで弾いているということがよくわかる演奏で、こちらもラグの魅力のとりこになった次第。 (写真のジャケットは3枚を1枚分に編集したベスト盤) Piano Rags by Scott Joplin - Joshua Rifkin (Warner Music Japan WPCS-5264, 5265, 5266 Nonsuch) ノンサッチのシリーズには、ウィリアム・ボルコムが弾いたラグのアルバムが2枚入っていたが、その中でジョプリンは2曲しかなかった。 もちろん、他の作曲者によるラグタイムも悪くない。 特にボルコム自身がルイ・ショーヴァン風に作曲した Gracefull Ghost なる曲は、お気に入りの一曲なのだが、彼の演奏でたっぷりとジョプリンを聴いてみたかった。 Omegaというアメリカのマイナー・レーベルからCD1枚 73分をジョプリンに充てたアルバムが出されたので喜んで買ったのは、もう10年も前。 それがこのアルバム。 リフキンより、更にクラシカルな感じで、堂々とした正攻法で演奏している。 それでいて、Solace のような曲は、たっぷりと歌わせて、表情も生き生きと変化させる。 リフキンと両方持っていたいアルバム。 録音もクリアで、今となってはリファレンスとなる演奏、録音。 しかし、現在でも入手できるだろうか。 EUPHONIC SOUNDS, The Scott Joplin Album - William Bolcom (Omega OCD3001) cover photocover photoさて、スコット・ジョプリン自身の演奏はどうだったか。 SP復刻でも残っているかと思いきや、なんとピアノ・ロールが残っていた。 そこから87年に復刻したアルバム。 1902年から17年にかけて、ジョプリンが残したピアノ・ロールを1910年製のスタインウェイにかけたもの。 本当のラグは決して速く弾きすぎてはいけないと、リフキンのアルバムに書いてあったが、ここで聴く作曲者自演は、確かに弾き飛ばしてはいないものの、ゆっくりという程ではない。 跳ねるようなタッチのリズムと併せて、かなり軽快な印象を持たせる。 曲によっては、やや前のめりに聞こえることすらある。 Heliotrope Bouquet もずい分そっけないくらいに弾かれる。 最初のジンマーマンの演奏を速くした感じである。 Solace や Bethina のようなゆったりした曲が入っていないが、そんな曲をどう弾いていたか興味深い。 しかし確実なことは、この演奏にとっては、ラグタイムは古き佳き時代の音楽ではなく、「いま、現在」であると言うことだ。 Scott Joplin : Elite Syncopations - Classic Ragtime from Rare Piano Rolls (Biograph BCD 102) -----
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ラッススの大活躍
上京の折、中古CD漁り。 半期末の在庫処分か、特売品も含めて棚や箱はいっぱいだった。 オルランドゥス・ラッススを3枚。 ラッススは16世紀に欧州各地を移りながら活躍した音楽家で作品の数も多く、全貌を捉えるのも大変だろう。 ミサ曲、モテットからシャンソン、マドリガーレにドイツ語の歌まで、何でも作曲している。 その数なんと2000曲。 まずは、晩年の1587年にニュールンベルクで出版されたマドリガーレ集から。 ミュンヘンのアンサンブルの演奏。 ラッススはその一生のうちでも実り後半生40年近くをバイエルン公のもとに仕えていたので、ミュンヘンには縁が深いことを思い起こさせる。 北イタリアの濃いマドリガーレに触れたラッススだが、彼自身のマドリガーレはルネッサンスの枠組みの中に留まっている。 決してバロックへの道につながるものではなく、いい具合に「枯れた」、ややマニエリスティックなものという感じ。 演奏は、声が結構渋い艶があってラッスス向きか。 ガンバやコルネットの伴奏(バーゼル、チューリヒのグループ)も落ち着いた色彩を添えていて好ましい。 Orlando di Lasso : Madrigale 1587 - Die Gruppe fur Alte Musik / Martin Zoebeley (Ars Musici AM1099-2) cover photocover photoアルス・ムジチというレーベルはフライブルクにあるが、ラッススの盤がいくつかある。演奏者はそれぞれ異なっているが、これはレーゲンスブルクの聖歌隊出身者を中心にした若者たち6人のグループ。 ニコラ・ゴンベールのシャンソンに基づく1577年に出版されたミサ曲の間に9曲のモテットを配置したプログラム。 ちょっとECMを思わせるモノクロ写真を使ったジャケット・デザインが印象的だったが、中身を聴いてまた驚く。 声の質としては、上のミュンヘンのグループの渋みを抑えたような滑らかさと艶があるのだが、響きや音の動きが静かで柔らかく、独特な雰囲気を作っている。 イギリスのグループにもフランスのグループにも無い味わい。 しかもラッススの、どこか苦味のあるポリフォニーによくマッチしている。 これは大いに気に入ってしまった。 既に Ars Musiciレーベルから3枚のアルバムを出しているようだが、古楽は1点。 4枚目のこのラッススが99年に出た最新盤と思われる。 これからも、彼らの演奏で後期ルネッサンスの音楽を聴いてみたい。 Orlando di Lasso : Missa Tous les Regrez - Singer Pur (Ars Musici AM1242-2) 今度はライプツィヒのラウムクランク・レーベルから。 曲はダヴィデ懺悔詩篇から4曲。 全部で7曲からなるこの曲集は、ラッスス28歳の作(出版されたのは20年の後)で、後の作品に比べると、よりストレートな響きを持っている。 ライプツィヒ出身のアンサンブル、ジョスカン・デ・プレ室内合唱団(!)も、透明感のある、やや細身の合唱で、曲の美しさをよく表している。 こうして、3枚の盤を聴くと、ラッススの音楽の幅広さと個性を感じることが出来るし、それぞれの響きをよく生かした演奏に恵まれているとも思える。 しかも、全てドイツのアンサンブルで、同じ週末に揃ってしまったというのが偶然としても面白い。 この頃の曲に、ヨブ記によるレクツィオという9曲からなる曲集があり、とても印象的なのだが残念ながらLP時代にフランスのアンサンブルの演奏があったきり、CDでは出されていないようだ。 ダヴィデ懺悔詩篇曲集は、このレクツィオにつながる雰囲気を持っている。 Orlando di Lasso : Psalmi poenitentialis - Kammerchor Josquin des Prez (Raumklang RK9606) -----
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