MELI-MELO MELOMANE

音楽愛好家的日常
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ジャケット写真でAmazonにリンクしているものは購入ページに飛べます。以前は日本のAmazonの輸入盤価格は、 に対していまひとつ価格競争力に問題がありましたが、最近はかなり下がってきています。更にマーケットプレイスで海外の業者(カリフォルニア州とか英国ジャージー島あたりに登記された業者などから届けられます。)から取り寄せることが出来るようになり、ものによっては犬や塔よりかなり安く入手出来るものもあります。だいたい1〜2週間で到着する(日本での配達はJP)し、今までトラブルはありませんでした。 ちなみに、アメリカ盤はそこそこのようです。アイテムによっては直接、米Amazonから取り寄せると更に安くなることがある(品数にもよります)ので、興味ある方は .com の方も検索してみてください。私の場合、安い運賃の発送でも2週間強で到着しています。英独仏それぞれのAmazonも、他の国に無い独自アイテムがあったりして楽しめます。仏、西あたりだとFnacという手も。なお、品切れで中古の出品者が少ないアイテムは「あり得ない」値付けになっていることもあり、ご注意の程。
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ちょっと刹那的なチンクエチェント前半
15世紀から16世紀にかけて領地争いも一段落し、マントヴァ、フェラーラと言った北イタリアの都市ではそれぞれ、エステ家やゴンザーガ家が今度は文化の洗練を競い始めるように、音楽や美術が盛んになった。 タイトル・チューンは、「パーティで盛り上がる人々の夜は短い。 楽しみが追いかけると眠りは逃げていく。 ・・・ 死は死であり、あらゆる苦しみの終わり。 生は生であり、あらゆる悲しみの終わり。」 しかし、この時期、イタリアの音楽シーンはその華々しさとはうらはらに、借り物の華とも言えるものだった。 つまり、トレチェントこそランディーニなどのようにフランスに興ったアルス・ノヴァの流れをイタリアらしく展開して独特の盛り上がりを見せたものの、続くクアトロチェントではフランスでの前衛的な音楽の模倣のようになっていってしまった。 もともとがマニエリスティックでオタク的要素の強い音楽だっただけに、独創性を入れようとすればするほどマニエリスティックになるだけ、と言ったところか。 さて、16世紀(チンクェチェント)に入って、アルプスの北ではオケゲムからジョスカンへという、フランドル楽派を中心とした盛期ルネッサンスに入っているのに、イタリアではこれと言った音楽家を輩出できない。 ペトルッチが世界最初の印刷楽譜を発行するというエポックメーキングな展開があったというのに。 結局、イタリアならではの世界が再び開けるのは、16世紀後半になってたくさんのマドリガル作曲家を生み出すようになってから。 (この辺までは、皆川先生の受け売りです→『西洋音楽史 中世・ルネサンス』) というわけで、このアルバムも、どちらかと言うと小粒の音楽家たちの間に、ジョスカンやイザークと言った北のビッグネームが顔を出すというプログラム。 ペトルッチの楽譜集からも何曲か採られている。 群小作曲家とまでは言ってはいけない。 ジョヴァンニ・ダルツァの曲なんかいい味出している。 カプリオラもリュート曲の大家だし、小粒と言っても、それはオケゲムやジョスカンと比べたらと言う事です。 La nocte e curta - Le Jardin de Musiques et Les Sacqueboutiers de Toulouse / J-Y. Guerry (Deutsche Harmonia Mundi 74321 646392) -----
| BIANCO | Early Music | comments(0) | - | - |
NCCPのライブ録音
一部のメンバーは入れ替わっているが息の長い活動を続けるNCCPによる、96年の1月から2月にかけてのツアーを収録したライブ。 スタジオ録音で、TZIGARIというアルバムを出した翌年ということで、そちらからの曲も。 ナポリとか、南イタリアのフォーク・ソングをベースに、コンセプト・アルバム的にまとめたり、ステージで見せる要素を加えたりといった多彩な味付けを行い、民謡の土着のパワーを失わずにエンターテインメントからハイ・カルチャーとして通用する完成度に仕上げてしまう、なかなか比肩するものがないスゴ腕のグループのライブということで、66分間の充実の時を過ごすことが出来る。 ナポリ方言で歌われる、やや古風な調べを含んだ曲が多いのも嬉しい。 広い意味でのフォーク・リヴァイヴァル運動から生まれたグループとその音楽は、その拠って立つ土壌が異なっても、志を同じくすると言うか、どこか共通して聴けるところがあるような気もする。 NCCPは、その最右翼に属すると言う感じだ。 しかし、こういうグループの演奏はビデオで是非見たいものだ。 もちろん、ライブに行くに優るものはないが。 この96年のツアーはイタリア各地を回ったようだが、カプリ島の市民劇場とか、シチリアはメッシナやカターニャまで行っている。 そんな所で観られれば最高なんだけど。 Incanto Acusutico - Nuova Compagnia di Canto Popolare (Eastwest 0630 16313-2) -----
| BIANCO | France/Italy/Spain | comments(0) | - | - |
イタリアの古い音楽の濃い演奏
cover photocover photo13世紀のイタリア各地の宗教的な歌を集めて、ジョヴァンナ・マリニ四重唱団とミクロロゴスが演奏している。 パトリツィア・ボヴィが両方のグループに属しているので、このようなコラボレーションもあるのだろう。 確か彼女は、コルシカ出身だったかも。 フリウリ地方の図書館に残る写本から、いくつかのトロープス。 コルトーナやフォリーニョ、そしてアッシジなどウンブリア地方(ペルージャが中心地)のラウダ等の聖歌。 そして、シチリア、カラブリア、サルデーニャなどの民謡のような聖歌。 いかにも13世紀の宗教曲という感じの歌があると思えば、地声でコブシを効かせたコルシカなどに見られるようないかにも地中海的な合唱あり、という「ダイナミック・レンジ」の広いアルバム。 ミクロロゴスが演奏する、クラシカル?な方の曲でも、器楽演奏こそ十分に古楽の雰囲気を漂わせるが、歌が入るとコルシカのポリフォニーを更に崩したような「濃い」音楽になり、「やはり根はいっしょか」と思わせる。 記録を元に音楽を再現する場合に、同時代的な生き生きとした要素を持たせるために解釈自体にバイアスをかける方法もあるが、時にはあまりにも恣意的になってしまう。 このようにうまくミックスして、後は聴き手の頭の中でひとつの変容を行わせるという方法も効果的。 さすがにヨランタ・スクラ女史率いるOPUS111は、野心的な試みに充ちたアルバムを作ってくれている。 CANTICO DELLA TERRA - Quartetto di Giovanna Marini, Micrologus (Opus111 OPS-30-277) -----
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月下のサラ
cover photocover photoあれ、サラ・ブライトマンは移籍したのだろうか。 新作「ラ・ルーナ」はワーナー系列のEastwestレーベルから。 前作EdenはAngelレーベルだったのに。 Edenの赤い世界とは反対に、こちらは青一色のジャケット。 そして、どこか月の光に映されたような植物的な雰囲気が漂う。 タイトルに月を持ってきた曲が2曲。 ディスク・デザインも月面。 S&Gが広めたスカボロ・フェアをカヴァーしたかと思えば、ベートーヴェンの7番のアダージョに Figlio Perduto (失われた子)という詞を付けて歌っている。 La Califfaというエンリコ・モリコーネの歌は何の映画だろう(映画全くわからないので)。 ラフマニノフの作品21の歌曲集から「ここは素晴らしい場所」をミュージカル・タッチで。 スペインのポップ・グループ、メカーノの名作「月の子供」のカヴァーは声は似ているがアナ・トローハのちょっと舌足らずな歌い方とは違うはっきりした歌になっていて、これは聴き応えあり。 ヘンデルの Solo con te は何のオペラからだろう。 タイトル・チューンのLa Lunaはドヴォルザークの曲から。 これも原曲がわからない。 書いといてくれればいいのに。 ドヴォルザークの歌はほとんどチェコ語だし、オペラだったらお手上げ。 ルサルカだけじゃないから。 いずれにしても素晴らしくおあつらえ向きの曲。 とても楽しめて充実する一枚。 だ、け、ど、考えてみると、この充足感みたいなもの、音楽を聴いて即物的に満ち足りた気分になるという、このことが私がミュージカルとかに耳が向かわない理由なのでは・・・ という気もする。 音楽は聴き手にそんなに奉仕するものなのだろうか。 そんなに脳の一部にのみ充足した時間を与えていいのだろうか。 あーあ、ウェーベルンの交響曲でも聴こう。 でも、これじゃあ、デザートのミルフイユの後にエスプレッソ飲むようなもんかいな。 あれ、ウェーベルンの音って、こんなに音の悦楽を感じさせるものだったのか。 La Luna - Sarah Brightman (Eastwest 8573-82883-2) -----
| BIANCO | Variete Internationale | comments(0) | - | - |