MELI-MELO MELOMANE

音楽愛好家的日常
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おせっかい
ジャケット写真でAmazonにリンクしているものは購入ページに飛べます。以前は日本のAmazonの輸入盤価格は、 に対していまひとつ価格競争力に問題がありましたが、最近はかなり下がってきています。更にマーケットプレイスで海外の業者(カリフォルニア州とか英国ジャージー島あたりに登記された業者などから届けられます。)から取り寄せることが出来るようになり、ものによっては犬や塔よりかなり安く入手出来るものもあります。だいたい1〜2週間で到着する(日本での配達はJP)し、今までトラブルはありませんでした。 ちなみに、アメリカ盤はそこそこのようです。アイテムによっては直接、米Amazonから取り寄せると更に安くなることがある(品数にもよります)ので、興味ある方は .com の方も検索してみてください。私の場合、安い運賃の発送でも2週間強で到着しています。英独仏それぞれのAmazonも、他の国に無い独自アイテムがあったりして楽しめます。仏、西あたりだとFnacという手も。なお、品切れで中古の出品者が少ないアイテムは「あり得ない」値付けになっていることもあり、ご注意の程。
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まったりとしたパッション
cover photocover photo巷で話題のブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ。 メインのディスクはアマゾンにオーダー中のため、こちらイブライム・フェレールのソロアルバムから先に聴くことになる。 このおじいさん、もう70歳を超えているのだけれど、これがソロ・デビュー・アルバム。 プロデュースはライ・クーダー。 映画も観てないし、詳しい話も知らないのだけれど、この音楽には抗うことが出来ない。 町でどんなにサルサが流行ろうと私がちょっと距離を置いているのは、リズム感と運動神経のどちらも欠落しているせいもあるけれど、それよりラテンにはまると抜け出せなくなるに決まっているという理由もある。 ほら、こんな音楽を聴いたら。 もし、こんな音楽が溢れる日常に身を置いてしまったら、他の音楽は全て忘れてしまうのではないか。 ソン、グアヒーラ、ボレロ・・・ スロー・テンポの曲が多いけれど、ムード音楽とは全く違ってじんわりと体を熱くするものがある。 どんどんアッパー系にいっちゃってる最近の音楽と比べて、この古いキューバの音楽は、緩やかに感覚を溶解させるような魔力がある。 何に溶かすのか? 宮台真司ふうに「まったりとした日常」と言ってみようか。 溶ける瞬間に、きらりと命が光るような気がする。 IBRAHIM FERRER (World Circuit WCD055) -----
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宗教改革を生んだ音楽
ゼンフルはドイツ・ルネッサンスの世俗歌曲のアルバムに顔を出すのでドイツの作曲家だと思っていたが、実はスイス生まれだった。 イザークの弟子で、まずはマクシミリアン1世の宮廷で活躍し、のちにミュンヘンに移る。 世俗曲のアルバムは少し出ているが、宗教曲をじっくり聴かせるこのようなディスクは貴重。 イザークとハスラーの間にある音楽という感じ。 99年に設立されたばかりのアンサンブル・オフィチウムの演奏は、静謐な雰囲気を良く出している。 ゼンフルは、特に際だった個性がある作曲家では無いが、収められたモテットやミサ「ニシ・ドミヌス」などの宗教曲は決して埋もれていいものではない。 サブタイトルに、「宗教改革の作曲家」とあるが、ゼンフルはコラールを作曲したわけでもないし、ヨハン・ヴァルターのようなルター派プロパーの作曲家ではない。 これらの宗教曲も全てラテン語である。 しかし、ルターはゼンフルの音楽をとても愛好しており、更に個人的にも知っていた。 二人が実際に会ったという記録は無いようだが、ルターからゼンフルに宛てて作曲を依頼する手紙が残っている。 彼の依頼にそのまま応えることはしなかったが、ゼンフルはここに収められたモテット Non Moriar, sed vivam をルターに送ったようだ。 その後、欧州を二分し文化的にも様々な影響を与える磁場を作った宗教改革も、その始めは、連続した日常の中でひっそりと少しずつ生まれていたのかも知れない。 Senfl, Komponist der Reformation - Ensemble Officium / W. Rombach (Christophorus 77226) -----
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クアトロチェントのイタリア
cover photoラヴェンナの近くにあるファエンツァは人口5万人程の小さな町だが、15世紀以来陶器の生産で有名だそうだ。 この町の図書館に15世紀の音楽を収めた手稿本があり、ヤコポ・ダ・ボローニャやランディーニなどクアトロチェントの作曲家達の曲やフランスのマショーの音楽まで含まれている。 また、最古の鍵盤楽曲を収めていることでも重要な記録らしい。 ここでは、ディスクの後半がペレス自身によるクラヴィシテリウムというチェンバロの先祖のような小さな楽器の演奏に充てられている。 それはそれで貴重なものなのかも知れないが、このディスクの素晴らしいのは前半のヴォーカル・アンサンブルの部分だ。 アンサンブル・オルガヌムもいつものクセの強い歌い方ではなく、すっきりと素直に聴かせる。 それでも、この時代に特徴的なものと思われる装飾などは結構バリバリと聴かせ上手。 更に、ゲスト・ソロでジェラール・レーヌのカウンターテノールが聴けるのこのディスクの価値を高める。 まあ、ちょっと巧すぎというところもあるかもしれないが。 CODEX FAENZA, Italie, XVe siecle - Ensemble Organum / M. Peres (Harmonica Mundi France HMA1901354) ナクソスにもファエンツァ・コーデックスのレパートリーがちゃんとある。 ウィーンのアンサンブル・ユニコーンはナクソスの古楽の中でも個性的な演奏で、曲の紹介以上に彼らの演奏を聴く楽しみを感じさせてくれる。 このファエンツァ手稿も、上記のペレスとは逆に器楽曲の演奏が素晴らしい。 古楽と言うより、ヨーロピアン・フォークとかトラッドと言ったカテゴリーにした方がいいんじゃないかというくらい楽しい。 声楽も、技巧派のアンサンブル・オルガヌムと比べれば地味に響くけれど、しっとりとして悪くない。 CODEX FAENZA - Ensemble Unicorn / M. Posch (Naxos 8.553618) -----
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ルネサンスの地殻変動
cover photocover photoベルギーの古楽合唱指揮者、エリック・ヴァン・ネーヴェル率いるクレンデ・コンソートの珍しい作曲家のモテット集。 ヨハンネス・ルフェビュール(フラマン語での読み方が分からないが)の生涯について詳しいことはあまり残っていないようで、生年は不詳。 没年も1609年から1612年の間という具合だ。 つまり、パレストリーナより10年新しくシフトしたような感じ。 ジェズアルドやビクトリアの生涯に重なる。 その時代のフランドルの音楽家というとあまり思い浮かばない。 曲調はいかにもこの時代、ルネッサンス様式が爛熟し、マニエリスティックでしばしば強い表現がポリフォニックなスタイルをはみ出す。 半世紀ずれると、モンテヴェルディに至りバロックへの道が開けるという時代。 同時代のジェズアルドやビクトリアと言ったスタイルを更に超えて強烈に個性的な作曲家達に比べて、ルフェビュールの音楽はマニエリスティックながらもどこか落ち着きを持って聞こえる。 クレンデの端正で手堅い演奏が、むしろこの時代のトレンドを誇張無く表現しているようだ。 もう時代はパレストリーナにも、ましてジョスカン・デプレにも戻れなくなっていることを。 Johannes Le Febure : Motetten - Currende / Erik van Nevel (Eufoda 1273) -----
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ノイズ混じりのダウランド
cover photocover photoECM NEW な古楽アルバム。 ガルバレク+ヒリアードの癒し系とは異なり、こちらはリュートの伴奏で淡々と歌われるジョン・ポッターのソロにサックスやクラリネットで出される異音が時折ノイズとして混ざる「流れよ我が涙」のようなオルタナ系(?)古楽。 伴奏にはリュートの他にバロックヴァイオリンとダブルベースが入るが、こちらは違和感無くとけ込んでいる。 サックスは、たとえば「ご婦人方の小間物屋」ではヴァースごとに歌と交互にインプロヴィゼーションとして加わることもあるが、完全にノイズとして歌にかぶさるトラックもある。 この路線を突き詰めると、ルーカス・フォスやゲルト・ツァハーによるバッハの変形・変容みたいなものになるのかも知れない。 このダウランド、もっとぐちゃぐちゃにしてしまった方が面白いかも知れないが、逆にこの程度にとどめているがために、却って微妙な違和感を漂わせてふさわしいのだとも言える。 John Dowland : In Darkness Let Me Dwell - J. Potter, J. Surman, etc. (ECM NEW 1697 465 234-2) -----
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